【近藤さんのコラム】あなたの「〇〇」≠相手の「〇〇」である可能性を考える
今回コラムを寄せていただいたのは、当事業でキャリア・サポーターの役割を担っている近藤 佳保里さんです。
8月も、とても興味深いコラムを寄稿いただきました。ぜひご覧ください。
先日、私の髪を切っていただいている美容師Aさんと話していた時のこと、
「お客様に器用ですか?と聞かれて、自分は器用なのかな、と悩んだのですよ」と。
その時、私はこのように言いました。
「「器用」というレベルが、そのお客さんの思っている「器用」と、Aさんの「器用」のレベルが同じかどうかわかりませんものね。」
例えば、求人募集で見る内容において、必須条件で「〇〇に抵抗がない人」「PCスキルのある方」というような表現で、困惑することがあります。
相手が求めているレベルはどれほどのものなのだろう。
自分自身が「できる」と思っているレベルは、相手が求めている「できる」レベルの低いところに位置している可能性があるからです。
このように、見えづらい「できる」レベルを、見える化する必要がある場面が、日常には多くあります。
例えば「完了」レベルが、自己満足でなく、そこに携わるすべてが納得できる「完了」と認識できることを丁寧に確認することも、備わっているべき素養だと考えます。
遠い昔、私は、幼かった我が子に「できる?」と尋ね、「できる!」と言われ、「できた!」とのことで、確認したら、私が思う「できあがった」状態と全然違ったことが多々ありました。
その時、「できる」とは、このようなことだと具体的に細分化して伝えることが重要だと感じたことがきっかけで、それ以降、とてもしつこく確認するようになりました。
「お腹が痛い」に対して「お腹のどのあたりが、どんなふうに痛くて、我慢できるのかできないのか」や、「行きたくない」に対して、「なぜ行きたくないのか、理由をわかるように話して」などと、それはそれは鬱陶しい母親だったと思います。
我が子たちにはとても迷惑だったかもしれませんが、毎回あまりにしつこく言っていたところ、いつの間にか、こちらから聞かずとも、自分なりに工夫して詳しく伝えてくるようになりました。
「お腹のこの辺りが、〇時頃からずっとキリキリ痛くて、我慢できないわけではないけれども、いつもと違うから病院に行きたい」と訴えてきて、「わかった。行こう」と言うと、なぜかそこで、我が子に達成感があったように見えました。
真の達成は、受診し病気を明らかにして完治することなのですが。
今振り返ると、お気の毒な我が子たちだったと、母親として反省している部分もあります。
業務に関しても、同じことが言えるのではないでしょうか。
そのような経験から私自身も学び、求める場合、尋ねる場合などには、可能な限り、相手と同じレベルで事柄を想定できるよう配慮しながら発言することを心掛けています。
相手から尋ねられる場合も、しつこくない程度に確認をさせていただいています。
求めている到達点の認識が違っていると、業務の進捗や方向性がずれていく可能性があります。
「すれ違い」が起きないために、「すり合わせ」は、認識をそろえる大切な業務だと考えます。
最初に、部署内で、目的を明確にすることは、課題解決の過程を見える化するための意見を収集しやすくなり、連帯感とコミュニケーションにより、生産性が上がると考えます。
管理職は、柔軟で簡潔であること、そして、しつこくないこと(笑)が、適切な素養だと感じています。
※今回のコラムを書いているとき、ふとこの写真を思い出しました。
お気の毒な我が子らの小学生時代の一枚です。
この頃から、よくこそこそと2人で話し、協力していました。
家庭内攻略法の相談というそんな大げさなことではないと思いますが、1人で解決できないことは、他者を巻き込むということでしょうか。
大学生に至っても、こそこそ2人のミーティングは、よくどちらかの部屋で開催されていました。
この世で兄妹と呼べるたった2人が、お互いに寄せる信頼はこうして築かれたと思っています。
特定非営利活動法人日本キャリア開発協会(JCDA) https://www.mmi-sc.co.jp/
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